OMO
「Online Merges with Offline」の略称で、「オンラインとオフラインの融合」を意味する。顧客がオンラインストアと実店舗(オフライン)の違いを意識せず、最適なサービスを受けられるようにする、徹底した顧客目線のマーケティング手法。中国のベンチャーキャピタルである「シノベーションベンチャーズ」の創業者・李開復(リ・カイフ)が提唱した。
従来、オンラインとオフラインのチャネルは別個のものとして考えられてきた。しかし、デジタルや情報技術の発展、ライフスタイルの多様化により、オンラインストアと実店舗の境目が徐々になくなりつつある。すでに多くの企業は、複数のチャネルを使ったサービスを展開している。OMOはオンライン・オフラインを問わず、あらゆる顧客体験(ユーザーエクスペリエンス(UX))を提供するための施策だ。
OMOによってオンラインストアと実店舗の顧客データを一元管理すれば、顧客の購買データは正確性を増す。収集した購買データを分析して、商品開発やサービスの改善に生かすことで、よりよい顧客体験の提供を実現できる。例えば、実店舗で貯めたポイントがオンラインストアでは利用できない場合、顧客の販売意欲が低下するかもしれない。OMOはチャネルが連携していないことで生じる機会損失の防止に役立つ。
一方で、OMOは短期的な売上げを向上させることには適していない。チャネルの連携、顧客データの収集、サービス改善など、施策の取り組みに時間を要するからだ。また、社内の運用体制を整備するためのコストやリソースも必要となる。
OMOと関連する施策に「オムニチャネル」と「O2O」がある。オムニチャネルはWebサイト、SNS、アプリ、カタログなど複数のチャネルを連携して顧客と接点を持とうとする戦略で、企業目線の施策。O2Oはオンラインで集積したデータや顧客情報をもとに、実店舗へ顧客を誘導する施策。
(青木逸美)