男女雇用機会均等法
「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」の通称で、1985年に制定され、1986年施行された。企業の事業主が募集・採用や配置・昇進・福利厚生、定年・退職・解雇にあたり、性別を理由にした差別を禁止することなどを定めている。看護婦が看護師に、スチュワーデスが客室乗務員に名称変更されたのもこの法律による。
施行当初、各種差別禁止の項目の多くは努力規定だったが、1999年の改正により禁止規定となった。また、2007年の改正では出産・育児などによる不利益取扱の禁止や、1999年の改正で規制されていなかった男性に対する差別、さらにはセクシャルハラスメントの禁止などが規定された。2017年の改正では、マタニティハラスメントに対する禁止規定が制定された。
2020年6月1日から改正法が施行され、職場のパワーハラスメント防止措置が義務づけられた(ただし、中小企業では、2022年4月1日以前は努力義務)。加えて、セクシャルハラスメントやマタニティハラスメント等の防止指針が改正され、対応が必要となっている。
同法では母性保護のために、企業が女性労働者の通院を妨げてはならないという規定もあり、女性の自由な働き方を後押しする。出産・育児休業の取得促進やキャリア継続などに貢献し、労働人口不足の解消に貢献している。
(古市威志)