リカレント
一度仕事を離れて、大学などの教育機関で学び直すことを「リカレント教育」という。必要に応じて就労と学習を交互に繰り返すことから、英語で「繰り返す」「循環する」という意味のリカレント(recurrent)が用いられた。リカレント教育の歴史は古く、1969年の欧州教育大臣会議で、スウェーデンの文部大臣(後の首相)オロフ・パルメが言及したことが始まりと言われている。70年代に経済協力開発機構(OECD)が推進し、各国に広がった。
日本におけるリカレント教育は先進諸国と比べ遅れをとっているが、近年、ビジネス環境の変化や働き方の多様化によって注目されるようになった。2018年、政府の「人生100年時代構想会議」が「人づくり革命 基本構想」をまとめ、産学連携の強化などリカレント教育の拡充が盛り込まれた。
リカレント教育の促進により、社員はスキルアップし、より高い能力を生かして業務を遂行できるようになる。その結果、生産性が向上し、企業の競争力強化が期待できる。また、学習を通して社外に豊かな人脈を築くことができるので、ビジネスに活用するネットワーク作りにも役立つ。
人生100年時代を迎え、生涯現役で生き生き暮らすライフスタイルへの変化が求められている。リカレント教育はキャリアアップやスキルアップはもちろん、豊かな人生を維持していくための手段のひとつでもある。
(青木逸美)