デジタル改革関連法
地方自治体を含む行政システムの統一を図り、官民のデジタル化を推進することで国民や民間企業の利便性を向上させるための法案。新型コロナウイルス感染症への対応において、行政のデジタル化の遅れが顕著になったことが立法を後押しした。2021年5月12日に参院本会議で可決、成立。改革の司令塔となるデジタル庁を同年9月に新設し、他省庁への勧告権を付与するなど、総合調整機能を持たせる。デジタル庁の長は首相とし、担当閣僚のデジタル相、事務方トップで特別職のデジタル監を置く。
デジタル改革関連法は次の6法で構成される。
- 「デジタル社会形成基本法」……デジタル改革に取り組む基本理念を制定。これに伴い、IT基本法は廃止される。
- 「デジタル庁設置法」……内閣直属のデジタル庁を設置、各省庁や自治体のデジタル化を推進する。職員は500人規模で、100人以上を民間から起用。
- 「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」……行政手続きでの押印義務を廃止するほか、個人情報の扱いを国の基準に合わせて、個人情報保護委員会に一元化。
- 「公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律」……緊急時の給付金や児童手当などの公金給付に、登録した口座の利用を可能とする。
- 「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律」……マイナンバーと預貯金口座をひも付け、災害時などの現金給付を迅速化する。
- 「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」……2025年度を期限に、自治体ごとに異なる行政システムの統一を目指す。
デジタル改革関連法には、個人情報保護法の改正が盛り込まれており、全国共通のルールが設けられることで、その漏洩や目的外使用を懸念する声もあがっている。これに対して政府は、個人情報保護委員会の体制を強化し、ガイドライン策定など、対策を進めるとしている。
(青木逸美)