ベンダーロックイン
システムの構築や運用を特定の事業者(ベンダー)に任せ、他社の参入が困難になった状態のこと。長期に渡る保守や追加開発により、サイロ化したシステムからは自由にデータを取り出すことができず、プラットフォームの入れ替えには高額な費用がかかる。システムの切り替えが困難であることから、古い技術を使い続けることになり、時代から取り残される可能性がある。
ベンダーロックインには、「コーポレートロックイン」と「テクノロジーロックイン」の2種類がある。
「コーポレートロックイン」
システムが特定のベンダーに依存していることを指す。既存のベンダーの方が事業や会社の組織、業務などを理解しているため、他のベンダーに切り替えることが難しくなる。新たなベンダーに移行する場合、改めて業務やシステムの理解が必要となり、説明の手間やコストがかかる。
「テクノロジーロックイン」
独自仕様の製品やサービスに依存していることを指す。製品やサービスに独自の仕様が多いと、他製品に乗り換えすることが困難になる。ランニングコストの急な増額請求を断れないなど、費用面でのデメリットも生じる。パッケージソフトやクラウドサービスを導入すると、コストを抑えることができるが、後々他のサービスやソリューションに移行できなくなるリスクがある。
2022年2月8日、公正取引委員会が発表したベンダーロックインに関する調査結果では、約99%の自治体がベンダーロックインの可能性があると回答。ベンダーロックインが、自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)化が進まない一因となっている。
既存ベンダーには気軽に相談しやすく融通が利くというメリットもあるが、DX推進には「ベンダーロックインからの脱却」が必須事項。独自の技術や概念を使用しない、著作権は自社に帰属させる、仕様書を必ず作るなど、ベンダーロックインに陥りにくい体制を構築することが重要だ。
(青木逸美)