プログラマティック広告
リアルタイムで広告枠の入札を自動的に行い、広告を表示する仕組みを「プログラマティック」という。「プログラマティック広告」「プログラマティック・バイイング(自動買付)」や「運用型広告」と呼ばれることもある。
プログラマティック広告はオーディエンスデータ(ユーザーの性別や年齢、住んでいる地域、Webサイトの訪問履歴などの情報)の活用によるターゲティングと相性が良く、高い精度のプロモーションを可能にした。2010年頃に登場して以来、急速な広がりをみせ、今やデジタルプロモーションに欠かせない存在だ。
予算や入札枠の上限など、あらかじめ指定した条件で契約し、オークション形式で「目的にマッチした広告枠」の売買が自動的に行われる。ユーザーがWebページを表示させるたびに、リアルタイムで入札を勝ち取った広告主の広告が配信される。プログラマティック広告の代表的な取引形態に、インプレッション(広告表示)ごとに単価を算出してオークションを行う「リアルタイムビッディング(RTB)」がある。
従来の一般的な広告は、指定した媒体の広告枠を決められた期間買い取る仕組みで、媒体の制約が多く、掲載までに時間がかかる。プログラマティック広告は、複数のデジタルプラットフォームを通じて、複数のWebページを横断し、「ターゲットが見ていると考えられる場所」に広告を配信する。最適なタイミングで最適な相手に最適なメッセージを提示することで、最大の効果が狙えるメリットがある。
一方で、企業にとって望ましくないWebサイトに広告が配信されるデメリットもある。媒体側が低品質なWebサイトに広告枠を大量に用意して、プログラマティック広告を悪用するケースもあり得る。場合によってはブランド毀損のリスクも考えられる。また、オーディエンスをターゲティングするためにCookieが活用されているが、近年、個人情報保護の観点からCookie規制の動きが強まっている。ターゲティングを利用したプログラマティック広告は今後、精度を落とす可能性がある。広告業界はポストCookie時代に向けた取り組みを本格化させる必要に迫られている。
(青木逸美)