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ユニコーン

創業10年以内で、企業価値が10億ドル以上の未上場ベンチャー企業を指す。「ユニコーン企業」とも呼ばれる。2013年頃、米国のベンチャーキャピタリストであるアイリーン・リーが、最初に「ユニコーン」という言葉を使ったといわれる。当時、未上場で時価総額10億ドルを超すベンチャー企業は貴重な存在で、伝説上の生き物「ユニコーン(一角獣)」に喩えた。その後、ユニコーン企業数は増加が続き、2022年度には世界で1200社に達した。このユニコーンの中には、100億ドル以上の「デカコーン」と1000億ドル以上の「ヘクトコーン」が含まれている。

ユニコーンは、起業家が生まれやすい環境が整っている国で誕生しやすく、米国が最も多く、次いで中国が挙げられる。世界的に見ると、日本のユニコーン企業数は少ない。安定した仕事に就くことが多い日本では、そもそも起業家が育ちにくい。さらに、米中に比べてベンチャーキャピタルの投資額が少ないこともユニコーンが伸び悩む原因の一つだ。現在、政府は起業家の育成強化や「スタートアップ(新興企業)」支援に取り組んでいる。「客員起業家制度」(EIR)を導入し、大企業が起業を目指す人を雇用したり、新興企業が大企業から人材を受け入れたりする場合の費用を補助する。経団連は、2027年までに起業とユニコーンの数をともに10倍に増やす目標を掲げている。

ユニコーンに定義される企業は、最先端技術の実用化を目指すテクノロジー分野に多い。これに対して、SDGsサステナビリティを重視し、環境・社会との共存性に価値を置く企業を「ゼブラ企業」という。集団で生活するシマウマの習性と共存性をなぞらえて、ゼブラ(縞模様)と名付けた。ゼブラ企業は、利益を優先するユニコーン企業のアンチテーゼともいえる。
(青木逸美)