ナレッジワーカー
「ナレッジ=知識」と「ワーカー=労働者」を組み合わせた造語。幅広い知識によって企業や社会に付加価値を提供する労働者のこと。社会学者・経営学者のピーター・ドラッカーが1960年の著書『新しい現実』の中で提唱した。大量生産・大量消費時代における「マニュアルワーカー(単純労働者)」の対立概念でもある。
ナレッジワーカーが必要とされる背景には、世界的な経済発展による金融工学やコンピュータ技術の進歩がある。高度経済成長期の日本では、製造業の現場や工場などで働くマニュアルワーカーによって生産性が大きく向上した。現代では、AI(人工知能)やロボットがマニュアルワーカーの単純作業を代行するようになってきている。近い将来、人間の行う業務はロボットに取って変わられることが予想される。テクノロジーが進化した市場で勝ち残るためには、ナレッジワーカーの豊富な知識や経験によって新たな価値を生み出す能力が不可欠となる。
ナレッジワーカーは知識があればいいわけではない。金融業界であれば、金融工学や金融商品の知識はもちろん、市場の動向の分析能力や、今後の動向を予測する洞察力が求められる。職種が何であれ、ナレッジワーカーには、情報収集能力、独自の視点による発想力、コミュニケーション能力など、あらゆるスキルが必要とされる。
(青木逸美)